2011年3月30日水曜日

about startup1

アメリカにはスタートアップする際に支援してくれる仕組みがいくつかあります。
日本もこれに追いつこうといくつもインキュベーションが生まれていますが、やはりアメリカが最先端です。特に有名なのはY CombinatorとTechStars。


実際にカリフォルニアに行ってみて、シリコンバレーで世界規模のサービスが出る要因の一部として実感したのが投資環境とメンターです。この2つは日本ではアメリカの比ではないぐらいまだまだ弱い。



前回のブログで、『インターネット分野での勝ち方は決まってきている』と書きましたが、これらの裏には間違いなく投資環境とメンターの役割があります。


・投資環境という点では、スタートアップの段階で日々の生活のことを考えない程度に資金調達が出来る環境が整っていること(もちろんいいサービスに限ります)。
これは、開発チームが受託やマネタイズの意識などをせずとも自分たちの信じている最高のサービスを作りつづけることが出来るという点で圧倒的にスタートアップには有利な状況です。
最近ではQuora、Asana、Pathなどが最高の環境下で開発に専念しています。
言うまでもなくGoogle,facebook,twitterも創業数年間はまともに収益が出ていません。

・メンターという点では、スタートアップのチームに総合職がいる必要がないことを意味します(メンターを除く)。
資金調達や経営ノウハウなどはメンターやアドバイザー依存が可能なので、こちらも同様にリーンスタートアップに集中出来ます。
facebookの軌跡をたどれば分かることですが、facebookの初期ではSean Pakerというビジネス面で一度成功しているメンターがビジネス面を全て行い、Mark ZuckerbergやDustin Moskovitzがひたすら開発を行っていました。
日本では成功した経営者は経営を行い続けるため、こういったメンターが圧倒的に不足していると思います。


以上を踏まえたときにリーンスタートアップは最高に近い戦略で、Ycomやtechstarsは最高に近い環境なのです。





日本ではあまりなじみのないtechstarsとYcomに関してちょっと調べてみました。




techstarsは基本的にはYcomと同じ仕組みをとっているみたいで、異なるのはYcomだとメンタープログラムは毎週火曜の夜ですが、techstarsは週に2、3回程度行われていること。






ちなみにYcomの仕組みを簡単に説明しておきます。今回のパロアルトの旅でYcomに入っていたGinzaMetricsのRay Grieselhuberに色々お話を聞いてきたので参考になれば幸いです。




  • スタートアップの立ち上げ期、あるいはシード期のスタートアップに投資をする



  • 投資額は一般には1社あたり1万1,000ドル(日本円で90万円)に加えて創業者一人あたり3,000ドル(同25万円)を投資する。つまり、創業者が3人いれば投資額は2万ドル(同164万円)になる


  • 上記の投資額でY Combinatorは2〜10パーセントのシェアを持つ。平均は6ないし7パーセントなので、たとえば2万ドルで7パーセントのシェアだとすると、投資を受けた会社の価値はいきなりおよそ28万6,000ドル(日本円で2,300万円程度)となる



  • この投資額で何をするかというと3カ月という期間でローンチできる製品(のプロトタイプやベータ版)を作る



  • 投資のラウンドは年2回で、1〜3月と6〜8月のそれぞれ3カ月



  • 重要なのは彼らはインキュベーターではないと宣言していること。Y Combinator自身のオフィスはあるけれど、そこは投資先企業がオフィスを構える場所とはなっていない(なぜなら、投資家の施設に投資先企業を収容するのは、投資家が創業者を雇用しているみたいだからとしている)



  • とはいえ、Y Combinatorの投資先として採用された企業はベイエリアに居を構える必要がある(なぜなら毎週オフィスに出向かなければならないから)





  • 以上techcrunchより引用



    そして、今回聞いたのはその3ヶ月(サービス開発)の間になにをするかです。
    大きく分けてYcomから支援される環境は4つ。ユーザーフィードバック、メンターアドバイス、ライバルとラウンドAです。

    ・1つめは、ポールグレアムが自分たちのサービスのユーザーとなり的確なフィードバックをくれること。かなりぼこぼこにされるらしいのですが、それがモチベーションとなりさらなるリーンスタートアップの好循環を生み出すそうです。

    ・2つめはご存知の通り、火曜日の夜にYcomのアントレプレナー達が集まって既に成功した人たちからアドバイスをもらうのです。

    ・3つめは、火曜日の夜などにライバルの進行状況などが否応がなしに分かってしまうので本当に焦るらしいです。

    ・4つめは、3ヶ月後に投資家へのプレゼン機会が用意されていること。


    ※もっと詳しくYcomを知りたい方はこちらをどうぞ。

    この4つが、特に最初の3つが、アントレプレナーとしての目線と初速度をあげるのにはとても有効的。(DeNAの南場さんが就活生に、社会に出たときの初速度がとても大切とよく言っていることのアントレプレナー版だと思います。)






    では話をtechstarsに戻すと、

    techstarsの創業者David CohenとBrad Feldはアメリカでとっても有名なスタートアップの本『do more faster』の著者であり、techstarsのファウンダーやメンター、アントレプレナーなどの経験をもとにしたアドバイスが章ごとに綴られています。
    日本では売られていませんが、kindleなどで手軽に読めるのでとてもおすすめです。



    もし成功者からの講義を聴きたい人はこちらに実際に行われたレクチャーの動画を紹介しておきます。





    やはり、世界規模のサービスを生み出すのにパロアルトという環境は適しており、ビザがない状態でもYcomを上手く利用することで向こうでスタートアップを出来ることが分かったのは大きいです。
    そして自分の中で再度ネットスタートアップをする際の優先順位は、Ycom>techstarsですが、選択肢が広がったのはとてもいいことだと思います。

    2011年3月28日月曜日

    about San Francisco 1

    ブログ移行しました。これからはこちらをメインにしていきます。




    3/5-3/19でサンフランシスコ、パロアルト、マウンテンビューなどに行ってきました。





    パロアルトは戦いにいく場所でミーハーで行く場所ではないという教えを受けてからの1年、起業やfacebook内アプリの立ち上げ、iPhoneAppの開発などを通してそろそろ行ってもいい時期かなという実感のもと今回の旅を決意しました。


    今回の旅の目的は2つ
    ・β版の現地ユーザーテスト
    ・スタートアップする上で理想と現状とのギャップを埋めるキャッチアップ


    開発の関係でユーザーテストは出来ませんでしたが、実際に行ってみて信じられないほど沢山の出会いとキャッチアップが出来たことはこれからの数年のベクトルを揺るぎないものにするのに十分な経験でした。



    細かい部分は後ほどブログでまとめ直しますが、ざっくり記事を書いてみます。



    今回の旅で特に印象に残ったことは、
    『web内での戦い方と勝ち方は定まってきている』
    ということ。



    簡単に説明させていただくと、リーンスタートアップが全てであること。
    リーンスタートアップはβ版まで出して、改善改善改善の連続でサービスを作っていくこと。もっと知りたい方はquoraのこちらの記事を参照してみてください。

    そして今までと異なるのは理想のスタートアップチームがエンジニア3人だったのが、エンジニア2人とデザイナー1人へと変化していることです。
    フロントエンドまで出来るデザイナーがどれだけいるかが勝負で、デザインを作り込んでいないサービスはユーザーの離脱率が極めて高くなるということを意味するのです。
    誰でもサービスが立ち上げが可能となった今、ユーザーはサービスを離脱するのに必要なコストはゼロで、サービスの質がいいという前提に立てば、そのサービスのよさを理解するまでにユーザーをつなぎ止めておくのはデザインなのです。

    日本ではエンジニア争奪戦が発生しつつありますが、アメリカではひしひしとデザイナーの
    争奪戦が開始されています。
    日本の総合職のようなポジションはリーンスタートアップでは存在せず、チームの中で非常にバリューを出しにくい立ち居値にあることが日本ではあまり明確になっていません。
    これからweb業界で働く上で、総合職としての立場と立ち居値がどんどん狭くなっていくのだろうなという印象を受けました。

    そしてフリーコードやサーバーなどが簡単に調達出来るのでサービス誰にでも作ることが出来るようになった時代では、リーンの考え方に乗っ取らないとそもそも勝負出来るフェーズに載らないということが明確になりました。
    リーンスタートアップを踏まえた上でいかに差別化とユーザー心理、プロモーションを徹底させるかが勝敗を分けるのであると。



    続きはまたひしひし書いていきます。